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家具&手織物工房「tass」紹介
今回は現代アートではなく家具のハナシ。
静岡市内で家具工房「tass」を主宰している遠藤君は高校時代以来の友人だ。富山県の高岡短期大学で木工を学び、さらにスウェーデンのエーランド島にある工芸学校「カペラゴーデン」に留学。家具のマイスターも取得し、卒業後はスウェーデン国内でいくつかの工房や家具製作会社などに務め、帰国後、同じくカペラゴーデンで学び、染織を手がける奥さんと一緒に工房「tass」を設立した。かわいい双子の女の子の父親でもある。 この夏、久しぶりに工房を訪ねた。 インテリアとアートというのは実は近い関係にあるので、家具やインテリアの業界やマーケットがどのように動いているのかを知ることは案外参考になる。もちろん、収納や生活などの機能が前提となる家具や織物などと、「飾る」こと以外にはっきりとした使い道のない(ときには飾ることにさえ向かない)アート作品とでは、様々に条件が異なるのだけれど、こと遠藤君のつくるもののような一点モノの手作りの家具に関して言えば、「作家性と市場の要求」や「価格と需要」といったところで、アートマーケットにも共通する問題が数多くある。 ひとつの面白いテーマが、住にまつわる日本の伝統や慣習に関する話。よく指摘されることだけれど、日本家屋では構造を支える役目は柱が果たしていて、間仕切りとしてのふすまや障子は動かしたり外したりすることが前提となる。だからそれは壁とは呼べない。壁がないということは、そこに絵を飾るというコンセプトもそもそも存在しないということになる。そのかわりに、襖絵などの障壁画や、最初から収納保管に便利なように考えられた屏風や掛け軸などが室内装飾として考案され、発展してきた。これは、建築構造の一部としての壁がふんだんにあって、その壁を飾るために絵画が必要とされた欧米の家屋とは事情が大きく異なる。 家具についても話は似ていて、壁が可変・可動だから据え付けの家具を置くことができない。さっきまで壁だったところが通路になったり、というフレキシビリティを活かすためには、収納は押し入れや天袋に固定して、家具は小さく動かしやすいものでなければならない。だから、同じ家具でも欧米と日本とではかなり異なる発展を遂げてきたのだ。 もちろん、椅子テーブルのライフスタイルを含めて今や欧米の生活様式は日本に完全に浸透している。しかし、それでも様々な部分で(例えば広さや長さのモジュールとしての畳数とか、外開きの玄関扉とか)日本家屋の伝統は姿を現してくるので、そこに、家具にしてもアートにしても、「ならでは」の面白さを見出すこともできるのかもしれない。 家具づくりの技術的な話も、いつ聞いても面白い。日本の夏の湿度の高さはものすごく、木材の伸び縮みは引き出しや扉の動きを大きく狂わせるらしい。その狂いをいかに最小限に抑えるか、そのためにいかに木目の方向をうまく組み合わせるか、ということが重要になるという。収納家具に限らず、椅子やテーブルなどでも同じことで、見た目だけにとらわれて伸縮を考慮せずにつくると木が割れてしまうこともあるのだとか。日本で桐ダンスが多く使われてきたのは、桐材が湿度による伸縮の影響を受けにくい材質だからだというのも、なるほどという話だった。改めて、気候風土と生活様式、文化とは密接につながっているものなのだということに気付かされる。 遠藤君がつくるtassの家具は、そのような日本の気候の特質にも配慮して、しかも細部にこだわった美しいフォルムを持っている。奥さんの博子さんがつくる織物も、やさしい色と風合いが北欧的でありながら、日本の生活にもしっくりと馴染みそうだ。 ご興味のある方はtassのウェブサイトへ。 http://www.tassen.jp/ *** 工房や家具作品の写真を撮ってくるのをすっかり忘れてしまったので、かわりに静岡駅のカフェにあった「茶ッチーノ」をご紹介。抹茶とカプチーノを折衷したパフェ風の飲み物で、今回のブログの「和」と「洋」というテーマにも合うのではないか……というのはさすがに無理があるけれど、それにしてもなかなか大胆なネーミングだと思う。割とおいしかったけど。
by hrd-aki
| 2009-08-25 02:11
| 雑感
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