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地方文化通信:直島・李禹煥美術館 (2)
(1)からのつづき
「李禹煥美術館」の建設計画は2007年に始動した。世界的なアーティストと建築家のコラボレーションというと、多くの衝突と紆余曲折を予想させるが、プロジェクトは実際には意外なほどスムーズに進行し、3年あまりという短期間で完成、公開に至っている。それには、李と安藤がもともと以前から旧知の仲であったことももちろんあるだろうが、二人がアートと建築の関係について共通の理想像を抱いていたからこそ、調和に満ちた瞑想的な空間が生まれるべくして生まれたと見るべきであろう。 * 筆者が直島を訪れたのは、ちょうど「瀬戸内国際芸術祭2010」が開幕して1週間ほどたった時期であり、学校も夏休みに入ったばかり。平日にもかかわらず多くの学生や家族連れ、また海外からの観光客の姿も数多く目にした。 「瀬戸内国際芸術祭2010」は、福武總一朗(ベネッセホールディングス会長、直島福武美術館財団理事長)が総合プロデューサーとして実現させた現代アートの祭典だ。直島、豊島(てしま)、小豆島(しょうどしま)などの瀬戸内海東部の島々と、岡山県(本州)、香川県(四国)という両岸を含む広域エリアを結びつけて多くの人々を呼び込み、アートを通じて地域全体を活性化させることを目的としている。 フェリーや高速船で島から島へと移動し、島のあちこちで制作・設置された作品を歩いて見て回り、あるいは美術館を訪れる。2008年に犬島アートプロジェクト「精錬所」が公開となった犬島にも、芸術祭に合わせてアーティスト・柳幸典と建築家・妹島和世、アートディレクター・長谷川祐子らのコラボレーションによる犬島「家プロジェクト」が新たに展開された。直島ではアーティスト・大竹伸朗が手がけたアート施設兼公衆浴場「直島銭湯『I♥湯(アイラヴユ)』」(2009年オープン)も人気のスポットだ。 瀬戸内の豊かで変化に富んだ自然と景観、ユニークで実験的な現代建築、また一日に数往復しかしない船以外にアクセスの手段がないという仕掛けも、非日常性をより際立たせ、芸術祭におけるアート体験を特別なものにしている。 * 芸術祭に先立ちオープンした「李禹煥美術館」に目を戻すと、ここもまさに自然と建築とが一体化した特別なアート体験の理想郷だ。「柱の広場」のベンチに腰を下ろすと、作品「関係項―点線面」の背景の山の中に、作品に使われている石と同じような色合いの茶褐色の岩塊が木々の間から覗いていて、あたかも作品が山の中にまで拡張されているかのような錯覚を受ける。美術館の作品に使用されている自然石は実は直島産ではないのだが、対岸の岡山県で李自身が長い時間をかけて探し、選び出したものだ。瀬戸内エリアで産出する自然石を使うことで、作品を地域の環境や自然の中に溶かし込もうとする李の態度は、館のメイン部分を半地下の構造とすることで周辺の景観との調和を図った安藤のランドスケープデザインに対する姿勢と相通ずるものがある。 李禹煥と安藤忠雄という同時代の希有な才能の融合であると同時に、鑑賞者、作品、建築、そしてそれを取り巻く海や山、そのすべてがゆるやかに交感する場。「李禹煥美術館」は、21世紀の美術の役割や美術館のあり方について多くの示唆を与える実験場でもあると言えるだろう。 (了) *** 自然石とコンクリート柱を配した「柱の広場」。 直島の旅館「みなとや」の食堂にかかっていた李禹煥の色紙。
by hrd-aki
| 2010-10-18 01:47
| 雑感
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