大阪のギャラリーヤマグチクンストバウで開催していた「BOOK ART 2010 Japan-Korea」という展示を、最終日のクローズ直前に見に行ってきた。
すぐ近くのサントリー美術館で、「ポーランドの至宝」という、美術館展なのに26日間しか会期がないという展覧会もついでに見ようと思って行ったのだが、サントリー美術館ではいまだかつて見たことのないものすごい数の人が押し寄せて行列をつくっていて、「チケット購入20分待ち」という立て看板を見て展覧会も見る気が失せた、という脱線はこのぐらいにしておいて、昨年ソウルのHyun Galleryで開催した「余韻/響き」というグループ展に出品してもらった田中朝子など、知った作家が何人か参加していたので見に行ったわけだが、こちらはもちろん行列なんかできていなくて静かな展示だった。
今年夏から、ソウル、東京、大阪と3会場を巡回するグループ展で、日韓両国の現代美術作家がブックアート作品を出品している。作品は、かなりストレートに本の形式を意識した作品、本を形態的・物体的側面から捉えた作品から、本とは全く無関係に見える解釈逸脱系の作品まで、幅広い。書き物机に模した展示台に乗る大きさの(つまりは比較的小さなサイズの)作品ばかり、というのが共通項と言えるだろうか。
入口のところで白手袋をはめて作品にじかに手に触れ、(ページのあるものは)ページをめくって鑑賞する、というのが正しい見方だったのだが、そういう仕組みに最初気がつかなかったのと、あとはただ単に面倒くさくて、置いてある作品を眺めたり覗き込んだりしていた。それでも十分に面白さの伝わる作品はあったし、へ理屈のようになってしまうけれど、「本」に手を触れずに「読む」ということがあってもいいのではないか?
大竹伸朗のスクラップブックも1冊展示してある。と思ってよく見たら野原健司という別の作家の作品だった。まあ形式的に似てしまうところの出やすい作品ではある。そう思って見渡すと、すべての作品がどこか別のところで見たことがあるように見えてくる既視感の強い展覧会でもあった。
※展示はすでに終了している。
http://www.g-yamaguchi.com/exhibition/bookart/bookart.html