カテゴリ
全体ギャラリー 展覧会企画 アーティスト イベント レポート 雑感 おしらせ 未分類 以前の記事
2023年 05月2023年 04月 2023年 03月 2023年 01月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 09月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2014年 08月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 05月 2013年 01月 2012年 09月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 最新の記事
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
淡路島で創作衝動について考える
先日、淡路島を初めて訪れた。高松に行くときに高速バスで通ったことはあったけれど、きちんと足を踏み入れるのは今回が初。クルマで島をほぼ一周まわってみた。案外広い。地図で見ると琵琶湖と大体同じ大きさ。
最初は美術館や博物館等があれば見てみようと思って出かけたのだが、結局ただのドライブになってしまった。理由は、見るべき価値を感じる施設がひとつもなかったからだ。かわりにいろいろとヘンなモノに出くわすことになった。その筆頭が「世界平和大観音」だ。 島の東側を海岸沿いに走る国道を南下していると、遠くに巨大な何かが屹立しているのが目に飛び込んでくる。近づいていくと、これが全国各地に多数存在している巨大仏像・観音像の類いだということがわかる。白塗りで、かなり大きい。そして、かなり美しくない。造形力不足、完成度の低さが並大抵のものではないのだ。ひとことで言って醜い。 ![]() この建造物(寺院や宗教施設ではなく、実際は「観音」と名前がついているだけの観光施設、しかも今は閉鎖されている)については、以下のウェブサイトに詳しい情報が載っているので、興味のある方はそちらを見てみてほしい。今回はクルマで通り過ぎただけなので近くでじっくりと見ることはできなかったが、次に淡路島に行く機会があればぜひともつぶさに観察してみたい。倒壊の危険もあるとのことなので、あまり近づかないほうがいいのかもしれないが。 http://www7.plala.or.jp/tower/awaji/sekaiheiwadaikannon.html http://www41.tok2.com/home/kanihei5/heiwadaikannon.html 淡路島には「淡路城」というお城もある。日本の近世風の城郭の隣には西洋の古城風の建物が並んで建っていて、きっとラブホテルと間違えて入ってしまう人もいるのではないかと心配になる。入り口には韓国でよく見かける「トルハルバン」みたいな巨大な石像が2体、狛犬か仁王像よろしく両脇に立っていて、ここがどこなのかよくわからなくなる。この淡路城、もちろん本物の城なんかではなくて、個人の美術館だか博物館だかのようだ。淡路には「洲本城」という、国の史跡に指定されている立派な城もちゃんとあるのだが、それとこれとは全く関係がない。 他にも、淡路の特産品タマネギをモチーフにした観光案内板(?)があったり、大観音よりははるかに小さいものの全身ブルーが印象的な道ばたの観音像など、運転しながら目にとまっただけでもたくさんのヘンなモノを目視できた。 実際、淡路島に渡らなくても日本の地方都市は美的センスの欠如した(というか、そもそも美醜などという言葉とは別次元の)奇怪な人工物にあふれている。そういう風景をおもしろおかしく取り上げたのが都築響一の「ROADSIDE JAPAN」であり、ポップアートの変種または拡大解釈として捉えたのが大竹伸朗の「ジャパノラマ」シリーズ、というようなことになるのだろう。 だから淡路島だけに限った話ではないのだが、世界平和大観音や淡路城を世に送り出した美的センス(あるいはその欠如)は、いったい日本人の、日本文化の何に根差しているものなのだろうか? 俗悪醜悪趣味というのは日本の文化的DNAに組み込まれている性向なのだろうか? いや、問題はむしろもっと単純なことかもしれない。つまり、美的センスの有無にかかわらず創作衝動というのは誰もが何らかのかたちで持っていて、何かモノをつくりたい、つくらずにはいられないというその衝動が資金的な裏付けを得た途端、とんでもないものをズブズブと産み出してしまう、と。これを止めるためには、景観条例みたいな法的措置を構えるか、資金源を断つかしか方法はないのだが、公的なカネでさえもだれかの野放図な創作衝動に供されることがあるわけで、一筋縄ではいかない(例えば、淡路市には市立の美術館がある。これが「淡路市立中浜稔猫美術館」というシロモノだったりする。淡路市出身の中浜稔という「猫の墨絵の第一人者」の作品を集めたというこの市立美術館にももちろん行かなかったけれど、行政予算でこんなものを設立運営する市の住民でなくてよかったと心底思う。淡路島の特産品が猫なのであれば地域経済との絡みでまあわからなくもないけど、そういうことでもなさそうだ)。 阪神淡路大震災の被害とその後の復興については詳しいリサーチをしたわけでもないので、憶測でものを言うのは避けたいところだが、おそらく震災復興の一環として整備されたであろう道路や建物などがテラテラとした薄っぺらな印象を島全体に与えている。復興のための多額の基金が流入し、多くの公共事業が格段必要とも思えない施設を必要とも思えないところにたくさん産み落とす結果になった、というのはよく聞く話である。豊富な資金に裏打ちされた無制限かつ奔放な創造活動。淡路島は、そんな悲喜劇的事情に地方都市・観光地につきもののキッチュが結びついて、他にはあまり見られない濃密な「ヘン」な空気を全島に充満させているのかもしれない。 ちなみに大観音は1982年の竣工だというから、震災復興とは関係がない。ないどころか、この観音様は大震災を生き延びたわけだ。地震で倒れればよかったのにと言うつもりもないが、なんというか皮肉な話ではある。 さて、最後に、地方に行くと必ずご当地キティをチェックするのが習慣になっているのだが、淡路インターの道の駅で見つけたご当地キティちゃん「うずしおバージョン」は秀逸で、今回淡路島で見た人工物の中で最も優れた造形性を示していた、ような気がしなくもない(買ってないけど)。 http://lykeion.info/map/sikoku/img/uzusio.jpg
by hrd-aki
| 2011-02-22 17:40
| 雑感
|