「風景の逆照射」という、いっぷう変わったタイトルの、いっぷう変わった展覧会が京都精華大学の学内ギャラリー「フロール」で年明けの1月6日から開催される。
この展覧会のカタログのテキスト翻訳をお手伝いしたので、ここに告知を兼ねて紹介させていただこう。
絵画作家の安喜万佐子や、自主ギャラリー兼共同スタジオ「STUDIO90」の森川穣、映像作家の林ケイタなども参加する現代美術の展覧会なのだが、「美術」という領域にとどまらず、建築家ユニット「RAD」や俳人、さらには脳科学者なども参加するという、かなりオルタナティブ感の強い企画である。
取り上げられるテーマは「風景」。ざっくりと言えば、人間と風景との関係性を再考しようという試みだ。日頃、何という疑問もなしに口にし目にしている「風景」という言葉(あるいはそのイメージ)に込められた歴史性や文化性を掘り下げ、そこに新たな「視点」を見いだそうという、かなり野心的かつ哲学的な展覧会と言えるだろう。アートについてまわる「見ること」と「感じること」の深淵に触れるうえでも興味深いテーマだ。
個人的には、俳句の余白と写真との表現上の関連性をテーマにした展覧会を企画したこともあるので、「俳句」と「風景」との関係がこの展覧会ではどのように提示されるのかに興味がある。
展覧会の詳細は以下のウェブサイトにて:
http://www.ipp2011.org
1月6日には評論家・木下長宏氏(今回の展覧会の出品者でもある)の講演も予定されている。
絵画と映像と詩とインスタレーションと建築……ちょうど現在、展示作業のまっただなからしいのだが、どのようなスリリングな展示が見られるのか、楽しみだ。2週間程度と短い会期だが、お時間のある方はぜひ。
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「IPP #0 風景の逆照射」
京都精華大学ギャラリーフロール
2012年1月6日(金)〜21日(土)