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「砂の城をつくること(あるいは壊すこと)」展
韓国ソウルのかつての王宮・景福宮にほど近いNext Door Galleryで、「砂の城をつくること(あるいは壊すこと)」というグループ展を開催している。
副題に「愛知県立芸術大学の作家たち」とあるように、今回の展示は愛知県立芸大とのコラボレーションで実現した展覧会で、同学に関わりがあったりゆかりがあったりする作家を韓国の地で紹介するという目的のもとに開催された。出品作家は倉地比沙支、栗原亜也子、大崎のぶゆき、白河ノリヨリの4名。栗原以外の3名は現在愛知芸大で教鞭をとっている教員でもある。 この4人の作家に共通する創作上の根本原理・関心事として、「砂の城」というキーワードを展覧会タイトルとしている。自らを取り巻く現実世界を、普遍・不変なものとして捉えるのではなく、うつろいやすい、あるいは懐疑の目を向けるべき、あるいは不安定なものとして捉えようとする態度、そしてそれを作品制作の出発点としているという部分で、4人の作家はゆるやかに結びついている。そのことを、あらがいがたい具体的な「かたち」を備えていながら限定的な実在性しか持たない「砂の城」という言葉に仮託して、展覧会のテーマとした。 例えば大崎は、絵画が溶けたり流れたりして変化していく様子を捉えた映像を中心に、時間性と現実認識、そしてその脆弱さ・不確実性を問う作品を発表している。 倉地の版画作品は、写真のような表面の質感、手描きの線描の持つ有機性、悪夢的な形象、感情を排したモノクロームの画面など、相反する要素をさまざまに内包しつつ、現実に対する不安定な感覚を表現している。 栗原の「Pictures」シリーズは、現実の生きた植物を前景に、描かれた植物を背景として、ともに写真に収めている。現実と虚構の間の境界の曖昧さを作品化していると言えるだろう。 白河は、シルバーの金属箔を下地に施したキャンバス上に、光があふれ出したような空間を描出した絵画作品を発表している。ここには、視覚的な現実認識に不可欠な、しかしとらえどころのない「光」の存在を極限まで突き詰めようとする絵画への物質的なアプローチがある。 「砂の城」をつくりあげ、そして壊す。さらにまた新たにつくり直し、それもまた壊す。バーチャル全盛の現代社会における現実との向き合い方についての多くの示唆を与えてくれる、そしてなおかつ美しい作品を揃えた興味深い展覧会になっていると思うので、ソウルにいらっしゃる方にはぜひご覧いただきたい。 最後に展示空間についてひとこと。Next Door Galleryは韓国の伝統的な平屋の家屋である「韓屋」を改装したギャラリーで、ロフトのある構造。聞けばここは築80年以上にもなるのだとか。決して広さはないながらも、変化のある魅力的な展示空間となっている。 *** 展覧会は2月12日まで開催中(月・火曜日は休廊)。 Next Door Gallery(ソウル)のウェブサイト: http://www.nextdoorgallery.co.kr/166 HRD FINE ARTのウェブサイト: http://www.hrdfineart.com/exb-castle12.html
by hrd-aki
| 2012-02-06 23:07
| 展覧会企画
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