HRDファインアートのギャラリースペースの最初の展覧会として、写真作家・南條敏之の個展「suns」を現在開催している。
http://www.hrdfineart.com/exb-nanjo15.html
展覧会タイトルが示す通り、南條が近年継続して取り組んでいる「suns」と題されたシリーズの作品を中心とした展示となっている。「suns」は水面に反射した太陽の光の痕跡を長時間露光で捉えた作品で、撮影された場所や状況は様々に異なるが画面に太陽の光の反射が写し取られているというのが共通する主題となっている。今回の展示では2012年に韓国ソウルのギャラリーSpace O'NewWallで開催した個展でも展示した作品群に加えて、横浜でのレジデンスプログラムに参加した際に制作した作品も展示している。
さらに今回は「suns」のシリーズだけでなく、砂防林をスナップ的に撮影した「shelterbelt」のシリーズの小サイズのプリントもあわせて5点展示している。神奈川〜静岡の太平洋岸に広がる人工的な砂防林を、あるものは巨視的に、あるものは微視的に捉えたシリーズだ。普遍性・遍在性がひとつのキーワードとなる「suns」とは対照的にトポグラフィックな性格を持っているが、海から吹き付ける風という動的な存在を木々の形状の静的な表現によって暗示させているという点では、太陽や水の存在の表現を暗示にとどめた「suns」と通底する部分もある。
京都国際写真祭KYOTOGRAPHIEのサテライトプログラムKG+の参加展覧会としてスタートした本展だが、KG+の終了後も展示は継続している。会期は5月30日までの金曜日と土曜日、時間は午後12時から7時まで。