京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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『現代絵画』

古本屋で「保育社カラーブックス」シリーズの『現代絵画』を見つけた。著者は高階秀爾(このブログではだいぶ前に『ルネッサンスの光と闇』という本のことを取り上げたことがある)。

カラーブックスのシリーズは、動物や植物なんかのテーマ巻が子供の頃家に何冊かあったし、図書館にもずらりと並んでいた記憶があり、その装丁(ビニールカバーがかかっている)もなんとなくなつかしくて100円で購入した。マティスの表紙もビビッドでいい(ビニールカバーは破れていたので取って捨てた)。

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「カラーブックス」という名前の印象とは裏腹にカラー図版は案外少なくて、モノクロと半々くらい。カラーページとモノクロページが見開きで交互に出てくる構成になっている。初版1964年という時代を考えると、それでも当時としては十分に破格の出版物だったのかもしれない。

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取り上げられているのは、当然ながら1964年時点での「現代絵画」なので、19世紀末から20世紀初頭にかけてのヨーロッパ美術、ナビ派からフォーヴ、シュルレアリスムといったあたりから、最新でもポロックやロスコなどのアメリカ抽象表現主義までといった範囲で、今イメージする「現代絵画」や「現代美術」とはかけ離れている。そもそも表紙からしてマティスだし、そのあたりの「現代」の変化にも思いを巡らせるとちょっと面白いし、一般向けに書かれているとはいえ20世紀美術を改めて概観するのにはちょうどいいボリューム感だった。

そして、この本で一番びっくりしたのが、著者紹介のページ。写真の高階さんがものすごく若いのはさておき、「現住所」がマンションの部屋番号まで堂々と載っているのにはたまげた(部屋番号には念のためモザイク、意味ないと思うけど)。この当時はそういうものだったのかもしれないし、美術史家の自宅に押しかけたり、「なんでデュシャンの図版がカラーじゃないんだ!」とカミソリを送りつけたりする人もそんなにたくさんはいないとは思うけれど、著者の個人情報をこんなふうに出版物にさらけ出してしまうというのは今だったらとても考えられない。こんなところにも時代の変化は表れているなあ、と、本の内容とは全然関係のない感慨を抱いてしまったのだった。

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by hrd-aki | 2017-02-18 15:19 | 雑感
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