HRDファインアートの代表である原田明和は、共謀罪法案に反対する。
様々な犯罪を計画準備段階で摘発できるようにするという法律で、政権与党(自民党・公明党)は「テロ等準備罪法案」などと呼称しているが、その実体はテロ対策などでは決してない。真の目的は心の自由を取り締まることにある。
対象となる法律には著作権法や商標法、意匠法なども含まれており、パロディやパスティーシュ(模倣)、アプロプリエーション(流用)などに代表されるようなアートの表現手法が大きく制約を受ける危険性がある。また組織的犯罪処罰法の「組織的な信用毀損・業務妨害」も対象になっているが、これによって特定の企業や団体、政党などを批判したり風刺したりする社会的な芸術表現も制約を受けることになる。
問題は、こうした行為を実際に行わなくても、それを共同で準備したことが犯罪と見なされ処罰の対象となるということだ。運用の恣意性も排除されていない。このことの検閲的・圧迫的な心理効果は重大だ。
こと現代美術に限らず、芸術と呼ばれるものにはすべて「これまでとは違う新しい見方や考え方を提示する」という機能・役割が備わっている。本質的に均質を嫌い、「違う」ことを是とするためにともすれば論争を巻き起こし反感を招くこともある芸術表現は、むしろだからこそ存在価値があるのだ。そうした機能・役割に制限をかければ、芸術はその存在意義を失ってあっという間に社会から姿を消してしまうだろう。
芸術を失い多様性を失った社会は、果たして魅力的な社会と言えるだろうか? 再び言おう。HRDファインアートの代表・原田明和は、個人として、共謀罪法案に反対する。