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京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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「Framework」展示作品紹介

2月に短い会期で開催した日韓4名の作家によるグループ展「Framework」。様々なフレームワーク=枠組みに光を当てるというコンセプトの展覧会で、ご覧いただいた方々には非常に好評だったのだが、会期が短かったこともあり、また日本においても新型コロナウイルスの感染拡大も危惧されるようになりつつある時期だったこともあり、そこまで多くの方に観覧していただくことはできなかった。

そこで、すでに会期終了した展覧会ではあるが、このブログを使ってオンライン展覧会的に作品の紹介をしてみたい。実際、この展覧会で展示した作品は、展覧会のテーマが示唆するように非常にコンセプチュアルな作品ばかりで、見た目だけではその意図するところが伝わりにくく、来場された方々にはひとつひとつ作品の制作プロセスやその狙い、メッセージなどを僕が口で説明していた。そのギャラリートークの内容を、ここにちょっと整理して再現してみようと思う。

***

まずは出窓のウィンドウギャラリーにも展示した、キム・ヒョングァンの作品。

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3Dモデリングソフトを使ってコンピューター上で作成したバーチャルな立体モデル(建築物のパーツ)を、様々な角度から見たデジタル画像をトレーシングペーパーに出力したデジタルドローイング。

展示した4点の作品は《Awning》と題したシリーズで、同じAnwing Window(跳ね上げ式の窓)のモデルを異なる角度からとらえたもので、出窓の作品は「上から」、2点並びの作品は「表側から」と「裏側から」、逆Vの字のような作品は「横から」見た画像。

デジタル時代における「モノ」の実在に疑問を投げかける作品である。

***

次に、イ・ジュンヒョンの作品は《Out of Frame》。映像作品と、その映像に関連する写真作品を展示した。

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キャンバスの木枠を解体した木材を材料として筏をつくり、それに作家自らが乗ってソウルの大河「漢江(ハンガン)」に漕ぎ出した様子を、筏にとりつけたオンボードカメラで撮影した映像作品。撮影に費やした期間は4カ月間にわたり、航行時間は合計48時間、航行距離は合計121kmに及んだという。

イ・ジュンヒョンはもともとはペインターだが、絵画を描くという行為から、キャンバス、木枠へと意識が連鎖し、絵画という枠組みから外へと飛び出していくような作品となっている。突拍子もないようにも見える作品だが、あくまでの絵画制作の枠組みの拡張であり、川の水面を絵画の表面に見立てることで、絵画制作のメタファーをパフォーマンス化した作品であるとも言える。普段当たり前に見ているもの・ことを解体して再構成することにより、これまで気づかなかった新しい世界が見えてくる。

***

続いて、チャン・スジョンの《Derive - 231 Moses》。暦(カレンダー)という、文明社会には欠かすことのできない枠組みをモチーフにした作品だ。

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この作品は、フランス革命後の18世紀に活躍したフランスの社会学者、オーギュスト・コントが提唱した「実証暦」という新しいカレンダーをベースに発想している。「実証暦」は、7日を1週間、4週間(28日)を1ヶ月として、13カ月で1年とする規則性の高いカレンダー。28日x13カ月で364日になるので、毎年最後に1日(うるう年には2日)を調整日として付け加える。

13カ月暦は、新しい社会秩序を自ら発明しようとする進歩主義思想のひとつのあらわれであり、様々なものが考案されたが、どれも実社会で実用化されることはなかった。実証暦も例外ではない。なお、タイトルの《231. Moses》は「231年モーゼ月」を意味する。コントが実証歴を提唱した年を実証暦1年とすると、今年、つまり西暦2020年は実証暦231年になる。「モーゼ月」は実証暦における1月の呼称。つまり今年1月のカレンダーになっているのだ。ちなみに、実証暦では各月に歴史上の偉人などの名前がつけられていて、3月は「アリストテレス月」、5月は「カエサル月」、10月は「シェークスピア月」といった具合だ。

この作品では、金色と黒に塗り分けられた小さなキャンバス1枚1枚が1日を表している。金色の部分の高さが、実際に今年(実証歴231年)の1月(モーゼ月)の「金」の相場価格を表している。微妙にその高さが変動しているのがおわかりいただけるだろうか。社会の枠組みが実は絶対的なものではなく、恣意的なものにすぎないということを示唆している作品だ。

2020年1月1日からスタートしたこのプロジェクト。それ以降であれば、特定の日の金の取引価格をベースにして作品が生み出されるので、大切な人の誕生日や記念日にギフトとして贈るのも面白いかもしれない。なかなか理解されにくいかもしれないが。

***

最後に、本展唯一の日本人作家、須貝旭の絵画作品。

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白亜地のキャンバスに銀箔を貼り込み、さらにその上から乾性油などをかけることによって銀の酸化を促し、色を変化させる。描かれたフレーム(額縁)のモチーフは、フレームの写真からシルクスクリーンの版を起こし、その版で銀箔の上から透明メディウムを刷ることによってコーティングをほどこし、酸化の進行を遅らせることでイメージを表出させたものだ。

銀箔の表面の化学反応は半永久的に進行していく。安定した、変化しない状態=完成形を目指すことを前提とする通常の絵画制作とは異なり、変化を受容し、時の経過を可視化することをはじめから意図している。本来「絵」の外側にあるはずの「額縁」が絵の主役になっていることも、絵画という「枠組み」を揺るがす要素として機能している。

***

展覧会の詳細や作家の略歴などは、ウェブサイトとプレスリリースをご覧いただきたい。


by hrd-aki | 2020-05-01 20:59 | ギャラリー
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