ギャラリー中央の部屋(四畳半)の真ん中にある床下収納については、前回の「改装のこと」ブログ(
「床板仕上げ」)でちょっと触れた。栗原亜也子の個展期間中は巨大な布のインスタレーションを設置していたので開くことはできなかったのだが、会期も終了したので、この床下収納の整理(木材の端材を雑多に放り込んでいた)と掃除に着手した。
以前にもたぶん一度きれいにして中がどうなっているのかを確認したことはあったはずなのだけれど、今回の総ざらいまではそのことをすっかり忘れてしまっていた。なぜ忘れていたのかもよくわからない。で、今回改めて確認できたことは、これがおそらくもともとはやはり掘りごたつだったのだろうということだ。
中に入っていた木材をすべて取り出し、掃除機でゴミを吸い取り、下に敷いていたダンボールを取り除くと、こんなものが姿を現した。というか、「あ、そうだ、こういうふうになってるの、前にも見たよな」と思い出した。
コンクリートの床の中央に、少し錆び付いてはいるものの、かなり重くてしっかりとした、厚さ5mmくらい、大きさは約35cm角の鉄の網蓋が取り付けられている。この網を取ると、その下にはさらに小さな空間が掘り下げられている。深さはこれも35cmくらいと、かない深い。
ということで、俄然、掘りごたつ説が濃厚になってきた。この穴の中に練炭を入れて、火をつけて使うのだろう。だからコンクリート製なのだし、蓋が鉄製のグリルになっているのも熱を遮断しないためだ。そう思って「掘りごたつ 練炭」でグーグル画像検索してみると、案の定、同じような写真がたくさん出てきた。これはもうほぼ間違いない。
僕は東京の団地育ちなので、そもそも掘りごたつが家にあったことはないし、練炭を使った経験もない。とはいうものの、数十年前までは日本でもちょっと田舎に行けばそこらに練炭や豆炭が転がっていたし、中国や韓国ではつい最近まで街中でも普通に練炭を運ぶリヤカーを目にすることができた。時代は変わるのだ、それも急激に。
この掘りごたつが現役に戻ることはもはや二度とないだろう。でも、2月に予定しているグループ展ではこの空間がインスタレーションにちょっと活用される、かもしれない。乞うご期待。