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京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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韓国・全州紀行 (3) 2023年7月・展示設営編

5月、6月と下準備のための2度の滞在を経て、7月に三度全州を訪れた。これが本番というか、いよいよ展示設営と7月14日のオープニングを迎えることになる。展示の概要は「韓国・全州の「和/Harmony」展のこと (1) (2) (3)」に譲ることにして、今回のブログでは会場での展示設営とオープニングレセプションの様子をレポートする。街歩きレポートと食についてはまた次回以降に。

まずは奥中章人の作品《Inter-World/Sphere》をパルボク芸術工場のカフェに吊り下げる作業の様子。高所作業車を出してもらい、奥中さん自ら高さ5mでの作業を行った。2人のアシスタント(大木さんと小野寺さん)が地上からサポートし、虹色のバルーンが見事に膨らんでいく様子は感動的だった。

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こちらは同じく奥中作品で、ハンビョク文化センターに設置した《Inter-World/Water - The Water over the Waters》。巨大な水枕のような、あるいはウォーターベッドのような作品で、3重に重ねたフィルムの袋の中に大量の(約3トン!)水を注入していく。

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この2つの作品が、準備や段取りでは最も気を遣い、ナーバスになった作品だった。《Sphere》のほうは、カフェという多くの人が出入りする空間での安全性や、天井のダクトやレールなどをいかに避けてバルーンが膨らむ空間を確保するか。《Water》のほうは大量の水をどうやって供給するか、万が一水漏れが発生した場合の対策、などなど、実際に現場に来て作家自身が状況をチェックしないとわからないことも多かった。しかも、日本から発送した作品が税関で止まってしまって現場到着が予定より遅れるトラブルもあり、ヒヤヒヤものだった。が、どちらも無事に完成。

もうひとつの作品、筒状の《Inter-World/Atmospheric Current》は、上記2作品の設営を優先したこともあって展覧会オープニング当日まで設営作業が続き、設置が完了したのはレセプション開始ギリギリだった。パルボクのエントランスに設置されたこの作品は、中に入って光と空気を体感することができる。

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韓国・全州紀行 (3) 2023年7月・展示設営編_a0123573_23114340.jpeg

鈴木崇の作品は、ハンビョク文化センターに3点の写真作品《Fictum》、パルボク芸術工場には4面プロジェクションの《KAABA - Kaleidoscopic Amplifying Abstract Binary Algorithm》を展示。こちらは《Fictum》の設置の様子。

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《KAABA》のほうは、4台のプロジェクターと、スクリーンとなるキューブとの位置関係で試行錯誤、微調整の連続。オープン前日の深夜までかけて、ようやく鈴木さんも「OK」と言えるレベルにまで漕ぎ着けることができた。

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続いては本原令子の作品。前回のブログ(「韓国・全州紀行 (2) 2023年6月」)で紹介したキンパづくりの映像作品を中心に、写真やオブジェ、テキストなどで構成されたインスタレーション作品《キッチン・ストーリーズ・イン・全州》。パルボクでは、キッチンでの映像を中心に、6月の韓国滞在をモチーフとしたエッセイ的なテキストを作家自身が読み上げたサウンド作品(元カセットテープ工場という会場の来歴にちなんでテープレコーダーで再生される)や、本原さんとキンパづくりの協力者イ・ヒジョンさんの幼少期の写真、生まれた日の新聞などを展示。ハンビョク文化センターでは同じテキストを陶器に焼き付けたり韓紙に手書きしたものなどが並んだ。

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韓国・全州紀行 (3) 2023年7月・展示設営編_a0123573_00312448.jpeg

こちらはおまけ、本原さんの展示パネルの加工を手伝っている鈴木さん(右)を応援(?)している財団のアシスタントスタッフ女子三人組。

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日本人アーティストの設営の様子の紹介はこのあたりにして、韓国と中国のアーティストの設営の様子も少し記録しておこう。まずは中国人アーティストから、こちらはパルボクで張晋(チャン・ジン、左端)が展示作品を並べているところ。

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これはハンビョク文化センターの古典(グ・ディアン、左端)のレリーフ作品の設置の様子。3Dプリンターで出力したシルバーの手には「島」らしきものが握られている。

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これは同じく古典のパルボク芸術工場での展示作品で、竹を用いた立体作品。

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こちらは何工(ヘ・ゴン)の作品設置。この時はまだ作家本人が韓国に到着できておらず、奥さん(左端)が指示を出して展示を進めていた。

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そしてこれは韓国人アーティスト、チョ・ヘジュン(中央)の設置の様子。

韓国・全州紀行 (3) 2023年7月・展示設営編_a0123573_02432324.jpeg

展覧会が2つの会場に分かれていて、しかもその距離がちょっと離れていたので(車で15〜20分くらいかかる)、行ったり来たりの設置作業はなかなかしんどいものがあった。それでもなんとか辻褄を合わせて短い設営期間でも展示をきれいに仕上げてしまうあたりは、やはり韓国流といったところだろうか。このスピード感を日本で味わうことは滅多にない。

* * *

こうして無事(?)作品の設置が完了し、バタバタではありながらも7月14日のオープニングを迎えることができた。オープニングは華やかな雰囲気で、楽団による韓国伝統音楽も披露された。参加アーティストによる挨拶、そして短い時間ながら展示作品を解説するギャラリーツアーも行われた。実はこの日、全州を含む韓国中部は広い範囲で激しい豪雨に見舞われ、死者も多く出るなど甚大な被害に見舞われた。それでも多くの地元の方々がオープニングに参加してくれたのは本当にありがたく、少し申し訳なくもあった。

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* * *

次回のブログでは、この7月の韓国滞在のサイドストーリーを、食を中心に紹介する予定。

(1)はこちら/(2)はこちら)

by hrd-aki | 2023-12-24 03:30 | レポート
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