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養源院で文化財の経営について考える
京都の三十三間堂の向かいに養源院という小さなお寺がある。徳川将軍家の菩提寺で、代々の将軍の位牌が納められているというのだから由緒のある寺だ。ここでは琳派の祖、俵屋宗達の絵画の数々をガイドツアー付きで見ることができる。
宗達の絵はちょっと後回しにして、まずは養源院のもうひとつの売り物「血天井」を見てみよう。「血天井」とは、徳川家康の重臣、鳥居元忠とその部下80余人が石田三成に攻められて集団自決した伏見城から、血に染まった床板を運び出して供養のために天井に上げて弔った、というちょっとおどろおどろしい由来のある天井だ。見上げると確かに赤黒い染みが全体に残っている。作務衣のスタッフの女性が竹竿であちこちと指しながら「ここが頭、ここが胴体、ここに片足がすっと伸びまして、ここは腕をこう曲げております」などと気味悪いことを淡々と説明してくれる。「あそこに赤黒くむらむらと染まっておりますのが……」という言葉遣いがちょっとおかしかった。むらむらって……。 ガイドツアー付きといってもライブの解説が聞けるのはこの血天井のところだけで、あとは作務衣のスタッフの女性がハーレムのヒップホップ系黒人よろしく小さなラジカセを持ち歩いて、カシャッと再生ボタンを押して解説を流し、終わったらまた別の場所に連れていってまたラジカセを鳴らす、という省エネシステム。 そんなラジカセ解説を聞き流しながら見る宗達の杉戸絵は獅子、麒麟、白象を杉の板戸に描いたもので、大胆な構図と筆遣い、動物のユーモラスな動きや表情が特徴的。現代の目から見ても新鮮だし、マンガ的な遊び心が感じられる。血天井のあるこの寺で、鳥居元忠とその部下たちの霊を慰めるためにこのようなおかしみのある表現にした、とも言われているらしい。外気と太陽光にさらされる板戸に描かれた絵だから鮮やかな色はすべては残ってはいないようだけれど、保存状態は悪くない。ただ8面(獅子4面、麒麟2面、象2面)あるうちの6面しか見ることはできない(獅子の4面のうち2面が象の裏にあって非公開)。 それにしてもこのお寺、見捨てられた荒れ寺といった風情がここかしこに漂っている。血天井の下、本堂の廊下の床は左甚五郎がつくった鶯張だし、他に宗達が描いた若松老松の襖絵も迫力がある。みどころは十分なのに、どうしてこうも「イケてない」雰囲気なのだろうか。敷地は広いようなのに、庭木の手入れも行き届いていないし、一画は空き地みたいに草ぼうぼうで駐車場がわりに使われてしまっている。もちろん観光地っぽくつくりこんでいないのには好感が持てるが、でももう少しぐらい見せる工夫をしてもいいのではないか、と思ってしまった。拝観料500円は決して安くはないと思うのだけれど、もしも懐具合の問題なのだとしたら象とか獅子のTシャツとかエコバッグでもつくればそれなりに売れるだろうし、血天井だって……あ、これはグッズ化は難しいかな。 最後にちょっと気になったこと。宗達の襖絵と杉戸絵の上には、金文字で「国宝」と大書した額がいちいち掲げてある。キャプションというには大きくて目立ちすぎるけれど、まあキャプションの一種だろう。ところがこれらの宗達作品は実はすべて国宝ではなく国の重要文化財なのだ。気分的には「国の宝」というぐらいの大雑把な主張なんだろうけど、見るほうは「あ、これ国宝なんだ」と思ってしまうだろう(僕もWikipediaで俵屋宗達を調べて確認するまでは国宝なんだろうと思っていた。ちなみに宗達の国宝は風神雷神含めて3つしかない)。 そこで今日の疑問その1。「国宝」ではないのに「国宝」と表示するのは別にいいのか? 疑問その2。所蔵品が国宝とか重要文化財とかに指定されると、その管理や保護のために何がしかの補助金が国から出るのだろうか?
by hrd-aki
| 2009-06-30 19:46
| 雑感
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