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銭湯+現代美術
東京・江戸川橋の銭湯「松の湯」の2階を会場に、「柔らかな器」というグループ展が開催されていた。知人のペインター、しんぞうさん(こんな名前だけど女性、もちろん本名ではない)が参加していたこともあり、使われなくなった銭湯の空間をそのまま展示に利用しているという点にも興味があったので、東京での仕事の折に見に行ってきた(展示はすでに10月4日に終了)。
「松の湯」は早稲田大学からも程近い、「早大通り」から通りを一本入ったところにある銭湯で、現在も営業中。かつては1階と2階で営業していたのが、今では1階だけを使っていて、2階は営業時の内装そのままに空きスペースになっている。このスペースを展覧会に使うのはこの「柔らかな器」展が初めてということで、ただほったらかされているだけの場所を「それなら展示に使いたい」ということで交渉して今回の展示に至ったらしい。 荒れ放題(?)だった場所を展示できる姿に持っていくために、片付けも掃除もすべて参加アーティストたちが自分たちの手で行ったようで、そのあたりの状況はしんぞうさんのブログで詳しく紹介されている。 http://sinzow.exblog.jp/ 参加アーティストは工藤春香、黒野裕一郎、塩川彩生、塩谷良太、しんぞう、平川正の6人。いわゆる「9.11世代」、「ロストジェネレーション」などと呼ばれる30代前後の年齢の作家たちで、展覧会のリードテキストには「この世代の感性には、あきらめと期待の混じった感覚、老いた穏やかさと無防備さが同居する、奇妙なやわらかさがあります」とある。僕が共通項として感じたのは、ある意味ナイーブなまでに直截的に「世界」と向き合った表現をしている、というようなことだった。 面白かったのは塩谷良太の目玉クリップをかたどった陶の立体作品。「モノ」の姿カタチが気になって仕方がない、というタイプの作家に見受けられた。しんぞうのペインティングは、個人的には「おかしさ」と「深刻さ」のバランスが収斂されてきている印象で、人間性の内奥に向かう視線の純度というか切れ味が増しているなという感想を持った。 そして何よりも、銭湯そのままの空間の力は想像以上に強いものだった。強い、というよりも頑なな、と言い直すべきかもしれない。古い下足入れ、タイル張りの浴室、赤いビロード調の布張りの壁やシャンデリア風のランプ……。今や銭湯は日常の一部ではなく過去の一部、レトロで特殊な場所としての風情を帯びつつある存在だと思う(僕は実際銭湯通いをした経験がないので、最初からすでに銭湯というものを非日常の異空間として捉えてしまっているのかもしれないけれど)。そんな空間の特殊性を展示の強度として「面白い」以上のところにまで昇華させるのはなかなか難しいものがあるのだろうと思わされた。 今回は展示空間のつくり込みや改装もほとんど許容されていなかったようで、そんな制約の中での現代美術の展示の試みとして、大成功とは言い難いけれどチャレンジとして十分に見応えのある展示ではあったと思う。 松の湯外観。 しんぞうの作品展示。 塩谷良太の作品。 浴室もそのまま展示スペースとなっていた。 *** 「柔らかな器」のウェブサイト http://yawarakanautsuwa.blogspot.com/
by hrd-aki
| 2009-10-11 23:22
| レポート
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