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京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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ゴヤンのオープンスタジオ

ソウルから郊外に向かうバスに乗ること1時間半、ようやくゴヤン(高陽)のアーティスト・イン・レジデンスに辿り着く(正確にはその近くのバス停に)。

まわりには田んぼや畑が広がり、牛の哭き声も響く、のどかな農村地帯だ。それもそのはず、ゴヤンは良質の米の産地として知られる韓国でも有数の穀倉地帯なのだという。そんな中に唐突に、バイオか化学か何かの研究所かと思わせるような外観の建物が姿を現す。
以前、タクシーで来たときには、地元のはずの運転手もこのスタジオの存在を知らず、住所とナビを頼りに車一台分しかない狭い道を迷いながら苦労して進んだ挙げ句、入口とは反対側に車をつけられてしまって、通っていいのかどうなのかわからないような裏口から敷地に入ったことがある。近くの雑貨店でコーラを買ったら変な味だったからよく見てみたら1年以上も賞味期限切れだったから「それ以来その店には恐ろしくて二度と行けない」とアーティストのホン・ジョンピョから聞かされたこともある。ただ、今回行ったときにはすぐ近くに新しいアパート群も建設中で、どうやらこのあたりも広域ソウルのベッドタウンとして開発が進んで行くような気配だった。

韓国国立現代美術館が運営するアーティストスタジオのひとつとして(もうひとつはチャンドン=倉洞というところにある)、ゴヤンでは海外からも多くのアーティストを受け入れている。今回行われていたのは、半年に1回、滞在アーティストの作品発表の場として設定されているオープン・スタジオ展。各自に与えられたスタジオ兼生活スペースを臨時のギャラリーとして、個展形式でそれぞれの作品を展示するというものだ。今回は33人のアーティストが参加していた。

レジデンスだからもちろん生活の施設もあり、海外からのアーティストは基本的にここで寝食を共にしているが、ソウル在住の韓国人アーティストはいわば「通い」で、昼間スタジオとして使い、夜はそれぞれ自宅に帰る、というスタイルが多いようだ。

韓国のアーティストにとっては、様々な国からのアーティストたちと居ながらにして接して、多くのことを学ぶ機会になるだろうし、何よりも充実した施設、都会から隔絶されて制作に集中できる環境は他では得難いものだろう。僕はまだチャンドンには行く機会は得られていないけれど、そこもゴヤンと似たような環境らしい。

一方、海外からのアーティストにとっては、ソウルの市街地に出るにもかなりの時間がかかるし、近くに美術館など文化的な施設があるわけでもないので、韓国の文化に多く触れるためには理想的な場所とは言い難い。実際、海外のアーティスト同士で関係が完結してしまって、外に広がらない、という話も耳にした。もちろんすべてのアーティストがその土地その土地の文化や人々に触れることを必要としているわけではないだろうから、これも善し悪しではある。立地条件を除けば、運営側のアーティストに対するケアはとても手厚いらしい。アーティストひとりひとりにスタジオで統一した名刺をつくってくれる、というのですごく喜んでいたベトナムのアーティストもいた。
もうひとつ、現代美術館本体の活動とのリンクがあまり強くないのは非常にもったいない。現代美術館で展覧会の機会でもあれば、それだけで大きな広がりを持つはずなのにと思うのだけれど、それはこれからの課題ということなのかもしれない。


ゴヤンのオープンスタジオ_a0123573_22133553.jpg
ホン・ジョンピョの展示。

ゴヤンのオープンスタジオ_a0123573_2216154.jpg
これまでの作品に、新作を加えた展示内容だった。

ゴヤンのオープンスタジオ_a0123573_22162423.jpg
スウェーデンのLisa Tagessonの作品。布と糸、テキスタイルを使った作品。

ゴヤンのオープンスタジオ_a0123573_22171218.jpg
Kim Byunghoの楽器とモチーフにした立体のインスタレーション。実際に音が出る作品もあった。

写真に撮るのを忘れてしまったのだけれど、唯一の日本人アーティスト奥中章人の、スタジオなどで出会った人々が語った言葉を記録した作品も面白かった。

***

ゴヤン・アート・スタジオ
http://www.artstudio.or.kr/eng/eindex.jsp
by hrd-aki | 2009-11-06 23:05 | レポート
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