京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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「POINT」展のトークイベント

京都芸術センターにて「POINT - 日韓若手アーティスト・批評家交流展覧会」のオープニング。アーティストとキュレーターによるトークイベントに参加してきた。

この展覧会は韓国ソウルのオルタナティブスペースLOOPと、韓国国立現代美術館運営のアーティストインレジデンス施設チャンドン(倉洞)スタジオによる共同企画で、2008年にLOOPで開催された展示の京都巡回バージョン的な性格を持っている。日韓3人ずつ計6名の参加アーティストの顔ぶれは2008年のソウル展と変わらず、LOOPがビデオやメディア系の展示を得意としているために1名のペインターを除いてはすべて映像/インスタレーションの作家だった。

少し時間に遅れてしまったのでトークイベントの最初のところは聞き逃してしまったが、個々の作品についての言及よりも展覧会の枠組み(この展覧会には統一的なコンセプトやテーマ性が欠如していることの問題など)や、クロスクリティック(日本の作家の作品を韓国の批評家が論じ、韓国のアーティストについて日本の批評家が評論し、図録に記録を残す)についての話が多かった。それらの論点は示唆的で、いろいろ考えながら聞いていた。

ひとつは例えば、「アート」における「グローバル」の意味は何なのか、ということ。
LOOPのディレクター、ソ・ジンソク氏の話す「POINT」プロジェクトの狙いのひとつは、クロスクリティックを通じて、自国の文化や歴史の中だけでしか通用しないディスコースを越えて、別の国や文化のディスコースを意識することで若手アーティストをグローバルな地点に立たせる、ということであった。
その際に語られる「グローバル」とは一体何か? 国際性ということであれば日韓の交流はそのための出発点は提供するだろうが、それが「全地球的」な広がりを担保はしない。そもそも「グローバル」という概念自体が幻想に過ぎないことは経済や政治の領域ではさんざん指摘されていることだ(グローバル・スタンダードは実はアメリカン・スタンダードである、云々)。
真の普遍性とは多様性の集積であると個人的には思うし、そこには「ローカル」と「パーソナル」に向けた視点が決して欠かせないのではないかと考えている。ロンドンとニューヨークのアートスクールで学んだ日本人アーティストがグローバルな視点を備えている、というのは全くのミスリードであって、彼/彼女はロンドンとニューヨークでアートを学んだ日本人としてのパーソナルな立ち位置を持つ、ということしか意味しないはずなのだ。それ以外にも彼/彼女が持つ様々な個人的な属性が複雑に絡み合ってその作品世界を成立させているはずであって、そこに「グローバル」という形容を与えることにはある種の欺瞞、あるいは怠惰を感じる。

展覧会というフォーマットが必然的に要請する諸々の物理的な制約(作品の運送、移動コストなどなど)によって、「疑似(ミニ)グローバル環境」を生み出すことが困難になるのだとしたら(例えば日本・アルゼンチンの交流展は日韓交流展に比べてはるかに困難の度合いが高いだろう)、展覧会以外の手段、例えば出版やシンポジウムなどによってその目的はより効率的に果たされるのではないか、という論点も提出されていた。インターネットもその有効なプラットフォームになりうるだろう。
その一方で、展覧会において作品そのものと向き合うというフィジカルな「体験」の意味についても、常に問い直していく必要があるだろう。

今回、韓国からやってきたアーティストとキュレーターたちは、作品の設営と準備、オープニングだけでほぼすべての日程が埋まってしまい、京都の街を見てその文化に触れる時間的余裕はほとんどなかったらしい。それでも自国以外の場所で展示を行うことの価値が削がれるわけではないが、しかしそれにしても非常にもったいないことではある。


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***

「POINT」展は1月24日まで開催。

「POINT」展ウェブサイト
http://point2009.blogspot.com/
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by hrd-aki | 2010-01-11 01:18 | レポート
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