京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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「GOLD EXPERIENCE」展

ソウルのHyun Gallery(ヒョンギャラリー)で「GOLD EXPERIENCE」と題した展覧会を企画した。今月20日にオープンし、来月の6日まで開催されているので、もし会期中にソウルに旅行などで行かれる方がいたら、ぜひ見に行ってみていただきたい。

「GOLD EXPERIENCE」は、「日韓現代金箔絵画」という副題が示すように、金箔を使った絵画表現をテーマに日韓6名のアーティストが参加したグループ展だ。画材、素材を横軸に、日韓の国際交流を縦軸にしたような企画で、5月21日と22日の2日間、金箔を使った絵画制作の一端に触れるワークショップも行った。

近年の韓国現代美術、特に絵画の領域では、主題やモチーフがクローズアップされることが多い。個人的なストーリーやメッセージ性、政治性がはっきり示された作品が好まれる傾向のあるこの地において、「画材」に着目した、やや地味な展示がどう受け入れられるのか、事前には予測のつかない部分も多かった。しかし、大勢の方に来ていただいたオープニングから、概ね好意的な反応を得られたようだった。絵を見る(あるいは読む)、ということのステレオタイプが、少しばかり突き崩せたのではないかとも思う。

Hyun Galleryの主宰者で、自らも金箔を用いた絵画・立体の制作を続けているHyunjoo Park女史の存在がこの展覧会を企画するそもそものきっかけにはなったのだが、出品作家を選び、金箔について自分でもいろいろと調べて行くうちに、「画材」という広大な世界の、さらにまた特異で興味深い金箔という素材の魅力に引き込まれてしまった。
絵を鑑賞するだけの立場からすると、その絵がどうやって描かれたのか、何を使っているのか、というようなことにはなかなか関心が向きづらい。しかし、絵を描く側にしてみれば、たとえそれがイラストのような具象画であったとしても、技法や画材料は日々当たり前のように向き合っている制作の前提であって、絵画言語の基本文法であるとも言える。この部分に目を向け、覗き込み、より深く知るすることは、見る側にとっても、鑑賞と理解をより豊かなものにすることにつながるのではないか?

今回の展示では、金箔の研究とその応用における日本と韓国の間の密なネットワークが垣間みられたことも面白かった。例えばPark女史は東京芸大で博士号まで取得した黄金テンペラの専門家だし、Jungduk Songも研究生として東京芸大に在籍した経歴がある。さらに、Chion Leeは北京の中央美術学院で東洋画の金箔技法を学んだが、その時の中国人教授がじつは東京芸大の出身だった、という笑い話のような話もあった。ことほどさように、日本と韓国の間には、美術分野での人的交流が太く広く続いてきたのだということを再認識させられた。

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これは5月21日のワークショップの様子。各作家によるスライドレクチャーと、実際に参加者が金箔を貼る体験も行った。
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by hrd-aki | 2010-05-30 21:02 | 展覧会企画

アートフェア京都

京都で初のホテルアートフェアと銘打った「アートフェア京都」が開催された。
いまやひとつのトレンドとなった感もある日本のアートフェア。京都には現代美術のマーケットが存在しないとも言われているが、そこにある新しい流れを呼び込もうという意図のはっきりしたイベントで、その意欲は評価されてよいのだろうと思う。

アートフェアそのものについては、内容的に何か特筆すべき新しいものが見られたわけではないので特に取り上げないが、このイベントについて書かれたインターネット上のニュース記事について一言書いておきたい。何だかとてもがっくりしてしまったからだ。

以下が件の紹介記事。「烏丸経済新聞」というニュースサイトに載っていた。

***

http://karasuma.keizai.biz/headline/1058/
「京都にいる表現者のために美術業界の中で新たな市場経済を作り、作家を育てたい」という同フェア実行委員会代表・石橋圭吾さんの思いから生まれた同フェアは今回が初の開催となる。京都の現代美術ギャラリーを中心としながら、東京や名古屋など各地方のギャラリーも含み、コマーシャルギャラリーの多い東京と、企画や貸しを中心としたギャラリーの多い京都の美術市場の違いと文化の魅力を紹介する。「京都は狭い街なので縁がつながりやすく、表現者を身近に感じやすい。自分自身の目で面白いものを確かめられ、直接触れ合えることが魅力であることを伝えたい」と石橋さん。

***

僕が驚愕したのは、「コマーシャルギャラリーの多い東京と、企画や貸しを中心としたギャラリーの多い京都」というくだり。わかる人には説明しなくてもわかってもらえると思うけれど、日本では「企画画廊」というのは展示を通じて作品を売買する「コマーシャルギャラリー」のことであり、「貸し画廊」は美術の展覧会に特化したレンタルスペースのことだ。そもそも並列に論じることのできないはずの2つの業態をひとまとめにして、それが多い京都、などと総括されても何を言っているのかさっぱりなのだ。レンタルスペースでありながら時々コマーシャルギャラリーのような振る舞いをする「半企画」という奇妙な形態もあって、京都では有力・老舗画廊と見なされているギャラリーのほとんどがこの「半企画」だと言われているが、もしもそのことを言いたいのであればはっきりそう書けばいい。

また、そもそものコトバの定義として、コマーシャルギャラリーに対立する存在は公的な美術館やギャラリーであったり、非営利のオルタナティブスペースであったりするわけで、「貸し」であろうが「企画」であろうが「半企画」であろうが、そこで作品を販売する以上は「コマーシャル」と呼ばれるべきだろう。

この記事のもうひとつの問題点は、「コマーシャルギャラリーの多い東京」という稚拙な認識だ。「貸し」や「企画」や「半企画」が多いというのは、何も京都に限った事象ではない。東京の画廊・ギャラリーの大半は、程度の差こそあれ、貸し画廊=レンタルスペースとしての性格を持っている。何百というギャラリーがある東京で、純粋なコマーシャルギャラリーなんてほんの数十軒しか存在していないはずだ。

このあたりの基本的認識の正確性を期すことなく無批判な紹介記事を書いても、美術市場にとっては何のプラスにもならない。残念ながら。
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by hrd-aki | 2010-05-11 06:58 | 雑感