京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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鈴木崇個展「BAU」

京都は三条河原町、飲食店街のど真ん中(階下には韓国焼肉のお店!)という面白い立地のオルタナティブスペース/ギャラリー「RADLAB」にて開催中の鈴木崇個展「BAU」をオープニングの日に見た。

今回初めて訪れたRADLABは、建築をテーマにした研究会やワークショップ、展示などを企画しているRADというグループが運営しているスペースで、建築の展覧会や建築絡みのアート展などを定期的に開催している。RADはResearch for Architectural Domainの略で、LABはLaboratory。

Super Window Projectという京都の画廊との共同企画だという今回の展示。写真作家・鈴木崇の作品は東京国立近代美術館のグループ展などで見たことがあったけれど、今回は新しいシリーズらしく、いろんな色と形をした食器洗い用スポンジを組み合わせて建物、あるいは建築マケットに見立てた写真の連作が展示されている。ひとつひとつの作品は10センチ程度の小ささで、厚さ2センチくらいのパネル仕立てになっているのでそれ自体が直方体の黒いスポンジのようにも見える。プリントも梨地調のマットな特殊な印画紙を使用していて、「何かを写した映像」としてではなくそれ自体が「モノ」として提示されている、とも言える。

真実を写すという文字通りの(あるいは文字通り的方向性の)写真ではなく、イメージ(画像)が想起させるもの、何かを見た時に人が何をイメージ(想像・連想)するのか、といったあたりの問題を追究した作品づくりがこの作家のテーマのようで(非常に雑駁なまとめだけど)、そのあたりがよく表れている作品であり展示だと思う。コンセプトはさておいても、ひとつひとつ異なる小さくカラフルなフォルムが集積され整列している様は熱帯原産の甲虫の標本を見るようでもあり、なかなか魅力的だった。見る楽しさと読み解くことの深さのバランスが良く、いい意味でわかりやすい。

建築との関わりという視点にこだわれば、プリントを1メートル、いや2メートル以上の大きさに引き伸ばして、距離感覚や空間感覚を揺さぶるような展示も見てみたいと思った。そうなると作品が全く異なる文脈に置かれることになるのかもしれないが。

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「BAU」展示は7月25日まで。

http://radlab.info/
http://exhibition.radlab.info/
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by hrd-aki | 2010-06-29 01:59 | レポート

「レゾナンス 共鳴」展

大阪のサントリーミュージアム天保山で「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」というグループ展を見た。入口にあった看板によるとサントリーミュージアムの「現代美術展第2弾」らしい。

「芸術がもたらす感動には、『生きること』への根源的な問いかけと深く関わっているものが少なくありません。作品の多くは、凝縮された作家の思いが、見る人の意識の深い部分で解き放たれ、心の中に浸透し、響き合うことによって、意味を持ち始めます。本展では、人間と美術との基本的な関係性に目を向け、人が人としてあり続ける上で自ずと生じてくるさまざまな様相—『生と死』『喜び』『悲しみ』『愛』『憎しみ』『笑い』など—を様々な手法で浮かび上がらせた現代アート作品をご覧いただきます。」
(展覧会フライヤーより)

ある程度予想はしていたのだけれど、やはりというか、内容のない展覧会でがっかりしてしまった。
個々の作品には面白いと思うもの、クオリティのあるものももちろんあった(例えばインドのラキブ・ショウの極彩色七宝風祭壇画とか、小泉明郎の映像とか、ウォルフガング・ライプの「ミルクストーン」とか)けれど、全体としてこの展覧会が何を訴えかけようとしているのか、何を意図した展示なのかが全く伝わってこなかった。「共鳴」とか「人と響き合うアート」と言われても、お題目のようにむなしく響くだけで、肝心の作品同士が一切共鳴していない。ここは美術倉庫なのか、と思うくらいに。
そもそも、作品が見る人との関係性で成立するなんて、言うまでもない当たり前のことなのではないのか? そんな当たり前のことをテーマにした展覧会って(しかも館蔵品展ですらないって)、どんな意味があるのか?

マーク・ロスコ、小谷元彦、アンゼルム・キーファー、ウォルフガング・ライプ、小泉明郎、マルレーネ・デュマス、法貴信也、草間彌生、金氏徹平、ポール・マッカーシー……出品作家・作品のラインナップにも、この展覧会の企画立案のいい加減さ、ディレクションの欠如がよく表れている。
作品キャプションをチェックしながら見て行くと、キーファーやロスコ、草間といったあたりのいわゆる大家は大阪市立近代美術館準備室の収蔵品だし、他の作品の多くは大和プレス(これは個人コレクターとして知られる広島の大和ラジヱーター製作所という会社のこと)の所蔵だった。そしてサントリー自身のコレクションは皆無。

有り体な言い方をするなら、サントリーと大和プレスと大阪市立近代美術館準備室が「レゾナンス」してできあがった展覧会ということになるだろう。そしてその響きは、惜しいかな、弱くて魅力に乏しい。

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ちなみにサントリーミュージアムは今年の年末で休館になる。閉館ではなくて休館だから、次の展開もあるのだろう。願わくば(偏っていてもいいから)クオリティの高いコレクションと展示能力を持つ、関西のキーストーン的な美術館として生まれ変わってほしいと思う。今回の展覧会を見る限りそれはムリなような気もするが。

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展覧会は6月20日で終了。
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by hrd-aki | 2010-06-22 12:02 | レポート

美術評論家と写真評論家

世の中にはありとあらゆるものについての評論家が職業として存在する。
美術ももちろんその例外ではなく、大きく括ると美術評論家という母集団があって、それぞれが得意とする持ち場というかポジションに就いて、評論活動を行っている。評論の対象になるのは、ほとんどの場合現在進行形で進んでいる物事・事象・社会活動なので、美術評論も現代美術ないしは現在の美術がその対象になっている。古美術の専門家や研究者というのはいても、古美術評論家という職業を聞かないのは、古美術が(あるいはもっと正確に言えば古美術の発生が)現在進行形ではないからだ。

得意とする持ち場、ポジションについては、それが日本の美術であったり、欧米の美術であったり、アジアの美術であったり、その中でも中国の美術であったり東南アジアの美術であったり、あるいは絵画、立体、インスタレーション、ビデオ、写真、身体パフォーマンス等々のメディアであったりする。

ここでふと素朴な疑問を感じるのは、世の中には「美術評論家」とは別に「写真評論家」というジャンル(あるいはフィールド)が存在するらしい、ということだ。ジャンルというより肩書きと言ってもいいのかもしれないが、美術評論家と並立して、写真評論家と呼ばれる人々がいる。そして、写真評論家は美術評論家の単なる一サブジャンルではないようだということも、絵画評論家とか彫刻評論家とか版画評論家とかインスタレーション評論家という用語はほとんど耳にしないことから何となくうかがえる。

そもそも現代美術においてはクロスメディア・マルチメディアの表現者が多く、媒体の違いにはあまり大きな意味を与えられていない。にもかかわらず、の「写真評論家」なのだ。
これは日本に限った現象なのかどうか、浅学にして他の国の事情はよくわからない。わからないながらも、いろいろな付帯的疑問符が浮かび上がってくる。美術評論家でありながら写真を得意分野とする人は写真評論家ではないのか? 写真評論は一般の人々が撮影した旅先の記念スナップをもその評論の対象とするのか? 雑誌などのコマーシャル写真も評論の対象になるのか? 報道写真は? 写真評論は写真と大変近しい関係にある映像作品はその守備範囲としないのか?

少なくとも絵画の展示やインスタレーション展示を記録した写真を評論した文章は今まで目にしたことはないし、アーティストのプロフィール写真を論じた文章にも出会ったことはない(後者なんか誰か書いたら面白いと思うんだけど)。写真と美術との関係を考える上で(あるいは美術としての写真を考える上で)、「写真家」や「写真展」というタームも分析対象として興味深いけれど、「写真評論家」という分類も非常にいろいろなものを含んでいるなと思いながら、特に結論めいたものはないままこの項はとりあえず終わり。
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by hrd-aki | 2010-06-17 17:34 | 雑感

「甘い雨」展

ソウルの世界遺産のひとつチャンドックン(昌徳宮)のすぐ隣にあるINSA ART SPACEで、韓国人インスタレーション作家Jungki Beak(ペク・ジョンキ)の個展「SWEET RAIN」を見た。

ペク・ジョンキは京都・久世のstudio90のアーティスト森川穣氏のロンドン留学時代の友人で、今回の個展も森川氏から教えてもらい、最終日にようやく時間を見つけて滑り込みで見に行った。
「SWEET RAIN」という展覧会タイトルは、韓国語の「タンビ」という言葉を文字どおり英語に翻訳したものだという。「タンビ」はハングルで書くと단비。「甘い雨」、日本語で言うと「恵みの雨」「慈雨」といったところで、天候に左右される農村の暮らしの中から出て来た言い回しだ。

ペク・ジョンキの今回のインスタレーション展示は、この「甘い雨」を視覚的・物質的に再現するというのがコンセプトの展示だった。ギャラリーの入口でレインコートとビニール傘を借り、完全防備でいざ地下の展示室へ。
傘を開いて入った展示室内は部屋全体が雨漏り土砂降り状態。というより天井から雨が降り続けている。そしてその雨を手に取って舐めてみると、ほんのり甘い。
大量の砂糖を大量の水に溶かし、ポンプで展示室の天井裏に流し込み、天井に開けた無数の穴から水が、つまりは甘い雨が降ってくるという、コトバにしてしまうと単純な仕掛けで、「甘い雨」を実現している。ギャラリーの2階がポンプ室になっていて、展示室の壁沿いの床にはきちんと排水溝もつくられている。

「甘い雨」を視覚化するということだけのためにこれだけの大掛かりなシステム(設置に1週間、展示に2週間、撤去にさらに1週間かかるらしい)を組んでしまうというのは、実現しただけでもあっぱれな展示だと思う。まあバカらしいと言えばバカらしいけれど、こういうバカらしさも現代アートには間違いなく求められている。もっともっと巨大な規模でやったら、迫力のある面白い展示になるだろう。
会場のINSA ART SPACEは韓国文化芸術委員会(Arts Council Korea)という組織(日本で言うと文化省の外郭団体みたいなもの?)が運営しているパブリックギャラリーだ。公的な機関でこういう展示プランを許容するというのはなかなか勇気がいることのはずで、こと現代美術に関しての日韓の彼我の差を感じてしまう。あるいはあまり考えてないだけなのかもしれないけれど。

ペク・ジョンキのブログで過去の作品の映像なども見ることができる。自らの火傷の体験から、水をキーワードに作品を展開してきていることがわかって、なかなか興味深い。
http://jungkibeak.blogspot.com/

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「SWEET RAIN」展はすでに終了。
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by hrd-aki | 2010-06-17 16:57 | レポート