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京都・鞍馬口の現代美術ギャラリーHRD FINE ART(www.hrdfineart.com)のディレクターによるアート関係諸々ブログ。時にはアートと無関係な話題もあります。気が向いたら更新。
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京都移転

HRD FINE ARTは京都に移転いたしました。
上京区の静かなエリアに位置する、築80年以上という古い町家です。
今までどおり自宅兼事務所という体裁ですが、ちょっとしたビューイングスペースも兼ねたオフィスになります。小さなウィンドウギャラリーも計画しています。

http://www.hrdfineart.com/contact.html
# by hrd-aki | 2010-02-27 18:15 | おしらせ

京都市立芸術大学作品展

京都市美術館で京都市立芸術大学作品展を見る。

この展覧会は京都市立芸術大学(通称「京芸」)のキャンパスと京都市美術館の2会場での開催。他の美大や芸大の卒業制作展や修了制作展とは違って、学部生、大学院生ともに在学生も作品を発表するというのが特徴だ。そこには、在学中から作品を制作し発表するということを意識づけさせようという意図があるらしい。ただ、デザイン関連の学科では個々の創作としての「作品」ではなくテーマを与えられた課題制作がずらりと並んで展示されていたりもする。

京都市立美術館ではこの時期、京都の他の美術系大学でも卒展・修了展が週ごとに入れ替わりで開催されている。今年は京芸しか見ることができなかったのだが、他の学校の展示もスイープ的に見てみたいとなったときには、東京の五美大合同展のような一括開催システムのほうが利便性はあるように思う。あれはあれで膨大な数の学生作品と一挙に対峙(またはスルー)しなければならなくて大変ではあるし、京都ではそれだけのスペースをどーんと確保できないという事情ももちろんあるのだろう。

関西でこのような美術大学の制作展を見たのは今回が初めてだったが、京都ということで東京と何か違いがあるかというと、特別なものは何も感じられなかった。彫刻科のところではオーソドックスな作品の数が少なかったように感じられたが、これは学校の指導方針とか雰囲気とかにもよるものかもしれない。
もちろん関西では最もレベルが高い(と思われる)大学だけあって、全体的に技術的なレベルは総じて高い作品が並んでいたようには思う。


京都市立芸術大学作品展_a0123573_236527.jpg
京都市美術館の入口。

京都市立芸術大学作品展_a0123573_2381472.jpg
彫刻科の部屋。

京都市立芸術大学作品展_a0123573_246068.jpg
小さいカラフルなパーツを組み合わせてつくった小立体。フェティッシュ的な感覚が「今ふう」に見えなくもない。

京都市立芸術大学作品展_a0123573_2392284.jpg
手描き風アニメーションをループで流す映像インスタレーション。モニターが光ってしまって肝心のアニメーションが全然映らなかった。

京都市立芸術大学作品展_a0123573_2411225.jpg
スパンコールでロゴの部分を刺繍(?)したヤクルトやアマゾンのパッケージ。この材料を生かす方法を広げていけばもっと面白くなると思う。

京都市立芸術大学作品展_a0123573_243416.jpg
絵画作品の中ではこの作品が出色だった。モチーフの処理の仕方と空間構成が巧みで迫力がある。


※この展覧会は2月14日で終了している。
# by hrd-aki | 2010-02-24 02:55 | レポート

「POINT」展の展示風景

京都芸術センターの日韓交流展「POINT」から、展示風景の写真をいくつか。

「POINT」展の展示風景_a0123573_17435775.jpg
Ahn Doojin(アン・ドゥジン)の作品。
右奥はAhn Kanghyun(アン・カンヒョン)の映像インスタレーション。

「POINT」展の展示風景_a0123573_17502840.jpg
奥がMoon Sungsik(ムン・ソンシク)の絵画作品。
手前の長い木の箱は橋本聡の作品の一部。

***

「POINT」展ウェブサイト
http://point2009.blogspot.com/
# by hrd-aki | 2010-01-12 18:11 | レポート

「POINT」展のトークイベント

京都芸術センターにて「POINT - 日韓若手アーティスト・批評家交流展覧会」のオープニング。アーティストとキュレーターによるトークイベントに参加してきた。

この展覧会は韓国ソウルのオルタナティブスペースLOOPと、韓国国立現代美術館運営のアーティストインレジデンス施設チャンドン(倉洞)スタジオによる共同企画で、2008年にLOOPで開催された展示の京都巡回バージョン的な性格を持っている。日韓3人ずつ計6名の参加アーティストの顔ぶれは2008年のソウル展と変わらず、LOOPがビデオやメディア系の展示を得意としているために1名のペインターを除いてはすべて映像/インスタレーションの作家だった。

少し時間に遅れてしまったのでトークイベントの最初のところは聞き逃してしまったが、個々の作品についての言及よりも展覧会の枠組み(この展覧会には統一的なコンセプトやテーマ性が欠如していることの問題など)や、クロスクリティック(日本の作家の作品を韓国の批評家が論じ、韓国のアーティストについて日本の批評家が評論し、図録に記録を残す)についての話が多かった。それらの論点は示唆的で、いろいろ考えながら聞いていた。

ひとつは例えば、「アート」における「グローバル」の意味は何なのか、ということ。
LOOPのディレクター、ソ・ジンソク氏の話す「POINT」プロジェクトの狙いのひとつは、クロスクリティックを通じて、自国の文化や歴史の中だけでしか通用しないディスコースを越えて、別の国や文化のディスコースを意識することで若手アーティストをグローバルな地点に立たせる、ということであった。
その際に語られる「グローバル」とは一体何か? 国際性ということであれば日韓の交流はそのための出発点は提供するだろうが、それが「全地球的」な広がりを担保はしない。そもそも「グローバル」という概念自体が幻想に過ぎないことは経済や政治の領域ではさんざん指摘されていることだ(グローバル・スタンダードは実はアメリカン・スタンダードである、云々)。
真の普遍性とは多様性の集積であると個人的には思うし、そこには「ローカル」と「パーソナル」に向けた視点が決して欠かせないのではないかと考えている。ロンドンとニューヨークのアートスクールで学んだ日本人アーティストがグローバルな視点を備えている、というのは全くのミスリードであって、彼/彼女はロンドンとニューヨークでアートを学んだ日本人としてのパーソナルな立ち位置を持つ、ということしか意味しないはずなのだ。それ以外にも彼/彼女が持つ様々な個人的な属性が複雑に絡み合ってその作品世界を成立させているはずであって、そこに「グローバル」という形容を与えることにはある種の欺瞞、あるいは怠惰を感じる。

展覧会というフォーマットが必然的に要請する諸々の物理的な制約(作品の運送、移動コストなどなど)によって、「疑似(ミニ)グローバル環境」を生み出すことが困難になるのだとしたら(例えば日本・アルゼンチンの交流展は日韓交流展に比べてはるかに困難の度合いが高いだろう)、展覧会以外の手段、例えば出版やシンポジウムなどによってその目的はより効率的に果たされるのではないか、という論点も提出されていた。インターネットもその有効なプラットフォームになりうるだろう。
その一方で、展覧会において作品そのものと向き合うというフィジカルな「体験」の意味についても、常に問い直していく必要があるだろう。

今回、韓国からやってきたアーティストとキュレーターたちは、作品の設営と準備、オープニングだけでほぼすべての日程が埋まってしまい、京都の街を見てその文化に触れる時間的余裕はほとんどなかったらしい。それでも自国以外の場所で展示を行うことの価値が削がれるわけではないが、しかしそれにしても非常にもったいないことではある。


「POINT」展のトークイベント_a0123573_1123126.jpg

***

「POINT」展は1月24日まで開催。

「POINT」展ウェブサイト
http://point2009.blogspot.com/
# by hrd-aki | 2010-01-11 01:18 | レポート

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

ブログも出来る限り更新していくつもりですので、よろしくお願いいたします。

謹賀新年_a0123573_0411738.jpg
# by hrd-aki | 2010-01-02 00:42 | 雑感